功を奏する体験

 今年のカレンダーも残す所あと1枚になりました。月日が経つのはあっという間ですね。特に今年は疫病との長期戦を過ごしてきました。卒園、修了、入園、進級といえば園児にとっても私たちにとっても幼稚園生活の重要な節目です。その節目が特例の年でもありました。おそらくずっと歴史に残ることでしょう。特例が生み出した新たな発見もあった年でした。どんなことかというと、一つ目はプレーデーの縮小です。子どもたちの取り組みに余裕があり、日々の保育活動の中で無理なく覚え、達成できた体験になりました。

次に芋ほり体験。当初幼稚園の畑で行う予定だった年少さんも大型バスに乗って農家の方が育てた畑のさつまいも掘りができました。その次に実施した収穫祭では、夏に行えなかったカレー作りを年長さんとしました。子鹿米の入ったご飯で食べたカレーライスは最高に美味しかったです。最近ではお店屋さんごっこに向けてどのクラスも品物の制作活動を行っていますが、お客さんの数(今回は子どものみのため例年の半数)を作れば間に合うのでより丁寧に無理なく個数をこなしているように見えます。室内で制作時間のみに追われるのではなく、晩秋の晴天の中、広い庭で思い切り走り回って友だちや先生と遊ぶ姿が嬉しく目に映りました。柏餅のかわりの月見だんごの土産、夕涼み会の土産代わりのハロウィーンのお菓子、子どもの育ちに合わせて楽しめる学年ごとに開催したお楽しみ会の実施などなど功を奏した保育活動となっています。年の瀬にはクリスマスパーティーと餅つきの行事があります。子どもたちが季節らしい楽しさを心と身体で感じられるように知恵をしぼりたいと思っています。

 その一方で残念に感じているのは保護者の皆様と幼稚園、保護者同士のコミュニケーションが薄くなってしまっている事です。些細な出来事でも顔を見て話をするだけで互いに浸透しあえる積み重ねができないでいるもどかしさは否めません。個別面談では担任とお子さんの話を共有し、どうぞ有意義な時をお過ごしください。

園長 熊田佳美

日々成長している子どもたち

 いつの間にか季節は秋に変わり、日が短くなったり朝晩の冷え込みを感じたりするようになってきました。雨天の多い年度を過ごしてきましたが、平日の実施とはいえ園児全員が参加して無事に「プレーデー(運動会」)を終えることができ、園児たちのそれぞれの成長の節目をご覧いただけたのではないかと実感しています。ご家族の皆様には、新型コロナウイルス感染症予防を踏まえての開催に関わるお願い事に協力いただきまして本当にありがとうございました。

 これから迎える11月の「お店やさんごっこ(制作活動)」や2月に予定している「子鹿パーティー(舞台発表)」も保護者の参観を中止したり制限したりする中での実施になるため、PTA予算でお伝えの通り「行事記念DD」を園主体で作成し、皆さんにお配りできるよう取り組んでおります。
引き続き、ご理解とご承知をよろしくお願いいたします。

 それにしても、年長さんの「南中ソーラン」の演技や「クラス対抗リレー」は見応えある種目でした。可愛い動きで「かけっこ」や「ダンス」を大勢の人の前で初めて披露した年少さん、1年の成長の大きさが目に見えて感じた年中さん、そこからの更なる成長に感動し、とても嬉しい気持ちになりました。意識して鍛えてできるようになる成長と日々の生活の中で自然に身につく力がありますが、自由遊びの時間に「逃走中」と言いながら夢中で走り回る年長児の走るタイムは日に日に速くなっていたように感じます。また、園庭開放の時間も右から左へ、左から右へとどこまでも走っている子どもたちや、アスレチック脇の築山を丸太に合わせてぴょん、ぴょん、と下りてきたり駆け上がったりする子どもたちを眺めていると、全身を使って遊びながら足腰が鍛えられている様子がよくわかります。今後も日々の積み重ねで力をつけて、益々頼もしく育っていくことでしょう。

園長 熊田佳美

興味や関心から繋がる学習

 昨年、台風15号が千葉市付近に上陸、通過してから早いもので一年が過ぎました。根っこごと傾いてしまった園庭の青桐とアキニレの木は、新芽が育ち、枝葉がふさふさとなり始めており自然の再生力のすごさに驚いています。また、例年に比べて遅い時期の田植えに加えて7月の長雨と8月の猛暑で心配していた稲の成長も、思っていた以上に米の出来も良く収穫が楽しみになりました。

 子どもたちも6月の始まりの時の様子とは違い、あっという間に園生活に馴染んで先生や友だちと関わりながら賑やかに毎日過ごしています。自分のクラスにしっかりと着地して根っこを生やしているといったあたりでしょうか。そんな中、年長さんのクラスでお弁当の時間を一緒に過ごしました。その日、私のデザートは大好きなバナナ。大胆にも袋に入ったまま持っていたので、字の読める年長児に「エクアドルって何?」と聞かれました。「国の名前だよ。園長先生が食べているバナナは、エクアドルっていう国で育って、船に乗って海を渡って日本に来たバナナだね」と答えました。すると、次は「エクアドルってどこにあるの?」の質問。世界地図を見せた方が早いと思い、次の日、ネットでダウンロードした世界地図をコピーしていたら担任の先生が私よりも分かりやすい幼児向けの世界地図を用意していました。ちょうど万国旗作りをプレーデー(運動会)に向けて制作する時だったようで、それぞれの国ならではのデザインで国旗があることや、デザインには意味がある話を興味深く聞いていました。未知で未体験の子どもたちからは、「どうして?」「なあに?」と質問攻めにあうことが少なくありません。その「なぜだろう?」から始まって、もっと知りたい気持ちや分かって嬉しい気持ちを繰り返すことが、考える力に繋がっていくものと思います。

 先日は「どうして園長先生の歯は少し出ているの?」と優しいのか厳しいのかわからない質問を受けました。一瞬、答えに困りました(笑)。

園長 熊田佳美

安全な生活を送るために

「特別な夏」の夏休み、皆さんいかがお過ごしでしたか。

長く続いた梅雨が明けたとたんに猛暑と落雷を伴うゲリラ豪雨。新型コロナウイルス感染症予防に加えて熱中症対策に気が抜けない生活。そんな毎日が続き、気力、体力共に疲労感が例年以上にあったのではないかと思います。

改めて残暑お見舞い申し上げます。

夏期保育に続き、2学期が始まります。幼稚園生活における「安全・危機管理対策」を今までと同様に心がけ、実行しながら、園児たちが幼稚園で楽しく笑顔で過ごし、成長できるよう努めたいと思います。ご家庭でも協力いただきたいのは、「予防」→万が一の時は「被害を最小限にとどめる(広げない)」です。「備えあれば患いなし」の言葉を教訓に皆で健康に過ごしていきましょう。

 夏休みから幼稚園園舎が入っているマンション建物の大規模修繕が始まりました。主にベランダや通路側の手すりの交換や外壁塗装リニューアルが行われています。安全面がより強化されることは喜ばしいことですが、作業中の危険回避にも慎重になります。監視人の配置、落下物防止物の設置等、細心の注意を払って作業に取り組んでくださっていること、これからの時期は台風の発生が懸念されるため、防災の対策についても厳重にしてもらっていることをお知らせいたします。また、工事期間中の作業にあたり、マンション建物の両サイドから作業員の方々が上り下りしますのでご理解とご承知をよろしくお願いいたします。

園長 熊田佳美

支え合い

 幼稚園を再開してから3週間が過ぎました。園庭の田んぼの苗も順調に株 を増やし、頼もしく成長しています。今年のプール活動や年長児のお泊り会 は例年通りの内容での実施は難しいですが、水遊びの際の夏空に響く子ども たちの歓声や目標を達成した時の年長さんの笑顔を引き出す保育を心がけ て過ごしていきたいと思います。

 園児たちは待ちに待った入園、進級から日を追うごとに新生活のリズムを つかみ始めている様子です。慣れてきたのでクラスメイトの名前を覚えるよ うになっていて一緒に遊ぶことが増えました。関わりができ始めると同時に トラブルも起こりやすくなります。おもちゃの取り合いでケンカが発生した り、座る場所で争ったり、子どもたちは自分の気持ちが一番大事。容赦なく 自己主張します。ところが、中には何も言えず、手を出すこともできないで いるお子さんもいます。そんな時、仲介をしてくれる先生のもとで譲り合い の大切さや順番を守ること、互いに相手の気持ちを知ることなど園児たちは 一つの出来事から多くを学んでいます。そして繰り返しの毎日の中で気の合 う友だちを見つけては「明日も○○くんと遊びたい」「○○ちゃんの隣に座 りたい」と園での楽しみを増やしているようです。

 子どもたちが十人十色であるように大人の私たちも十人十色。一人ひとり の子どもたち、一人ひとりの保護者の皆様が自分の色を程よく主張しながら 自分には無い色の仲間の方々と交わりあって穏やかで心地よく楽しい令和 2年度の幼稚園生活を描いていけたら嬉しいですね。

 先日「幼稚園たのしい!」そう言って登園してきた女の子がいました。
一気に元気をもらいました。

園長 熊田佳美

体験から学ぶこと

 2月28日の全国休校要請発令により幼稚園臨時休園を決定してから3か月が過ぎました。4月から続いていた緊急事態宣言が5月26日に解除され、いよいよ新年度の始まりです。不安や自粛がのしかかる生活が続きましたが、皆で辛抱し協力して大きな第一波を乗り越えられたことをまずは素直に喜びたいと思います。あまりにも休みが長く続いたので、自分のペースで毎日過ごしていた子どもたちが、規律ある集団生活のペースを取り戻していくにはきっと時間が必要なのではないかと考えています。加えて、今回の園活動再開には、引き続き感染防止対策を配慮しながらの生活が必要とされていますので、何事も通常通りではなく、今回の場合はどのようにしたら良いかを常に考えながらの取り組みになっていくであろうとも思っています。

 例えば新しい生活様式を考えた時に、「2メートル間隔のソーシャルディスタンスで遊んでね」とか「大きな声は出さないでね」なんて園児に求めるのは実際に無理だとしても、部屋の換気や通気をよくする工夫や活動のスペースをなるべく広くとる配慮、生活する施設や道具の清掃と消毒などは私たち大人がしてあげられる事ですし、毎朝の検温や体調観察、手洗いうがいの習慣を身に付けてあげることは家庭と幼稚園で協力して教えていける事です。

 子どもたちには自分の命を自分で守る意識や行動を覚えていくように教えるのも教育の一つですが、幼い子どもたちが未熟なところは私たち大人が守ってあげることが必要です。今、まさにその教育の時とも言えます。

 やっと子どもたちの育ちに必要な食事・運動・園(社会)生活体験の3つが揃いました。たくさんの笑顔に会える日々が楽しみです。

園長 熊田佳美

毎日を健康に過ごすために

 4月の臨時休園から早くも1ヶ月が過ぎました。保育室前の植栽には濃いピンク色のつつじが咲き、初夏の訪れを実感します。ガーデンタウンにたくさん植えられた木々の枝から聞こえてくる鳥たちのさえずりだけが響き、静寂した日が今もなお続いています。園児たちがいない幼稚園ほどつまらないものはありません。

 ご家庭では、何らかの形でストレスも発症し始めている頃ではないでしょうか。元気な挨拶や歌で声を出し、先生や友だちとやりたい遊びをして要求を満たし、先生が見せてくれたり教えてくれたりする新しい体験にドキドキワクワクする時間を過ごし、そうやって集団生活の中で健やかに成長していく時間が持てずにいるもどかしい生活には5月いっぱいで見切りをつけたいものです。

 私が幼稚園説明会の際に必ずお話させていただく中で、子どもの健やかな成長を妨げるものの中でもストレスは一番よくないという考えを発言しています。子どもだけに限らず大人も同じですね。現状では特に感じることが多いです。ついついマイナス思考になってしまいがちですが、なるべくプラス思考に切り替えてポジティブ精神で生活しましょう。マイナス思考のAさんとプラス思考のBさんでは、Bさんの方がストレスは少ないそうです。
子どもたちは発散する機会が減ってしまっているので、楽しめそうなものを提供してあげたり家の手伝いで指先や体を動かしたりして脳を刺激する機会をできるだけ作ってみてください。

 嬉しいことや楽しいことの中から今できることを見つけて、健康の維持に気持ちを置きながら再開の時を待ちましょう。

園長 熊田佳美

お子様の進級・ご入園おめでとうございます

 いつものように花々が咲き、いつものように小鳥のさえずりが響く暖かな春を迎えました。その一方で、未だかつてない危機的な状況に世界が陥ってしまっています。なんの罪もない子どもたちが、規制された条件の中で毎日を過ごさなければならない事に胸が痛みます。本来は、進級や入園を喜び合って、新しい出会いに感謝して、互いに親しみの気持ちを蓄積していく新学期。その新学期がいつものように過ごせなくなっている事にも切なさを感じます。憎き敵、時には命まで奪い取ってしまうウイルス感染には、一日も早い終息を祈るばかりです。

 安心して過ごせる平常の生活が戻る そんな嬉しい風の便りが届くまで、一人ひとりが安全な生活を心がけ、健康に十分留意して過ごしていきましょう。

 家庭生活を離れ集団生活の一歩を踏み出す新入園児、担任やクラスメイトが変わる進級児。子ども以上に保護者の皆様の心配や不安の方が大きいかもしれませんが、園ではお子さんが幼稚園の中で居心地の良い場所や好きな遊び、好きなお友だちを見つけられるように努めます。また、担任はもちろんのこと職員全員で協力し合いながら一人ひとりのお子さんに目を配り声をかけてサポートしながら保育いたします。子鹿幼稚園は、先生と子どもと保護者の皆様の距離が近く、気さくにお話ができる所がとても良いと思っています。もしもわからないことや心配なことなどがあった時は、ためらうことなく声に出すようにしてみてください。自分一人のエネルギーだけでは解決できないことも、周りの人がヒントをくれて安心に繋がっていくことでしょう。幼稚園生活の楽しさや充実感を皆が一緒に感じていけますように、どうぞ安心して私たちにお任せください。

園長 熊田佳美

お子さまの卒園・修了おめでとうございます

そよ風が暖かな春の空気を運んでくる季節となりました。その空間の中で元気いっぱい走り回り、声をあげながら遊ぶ子どもたちを眺めることが叶わない3月になってしまいました。このまま卒園・修了の時を迎えます。

今年度は48名の年長児が卒園し、52名の年少児と55名の年中児が修了します。毎日積み重ねてきた園での集団生活の中で、たくさんの経験をして、どの子も大きく成長しました。

園長という立場になると時おり決断が必要になる事があります。その決断は、園児はもちろんのこと、保護者の皆様、先生方、幼稚園に関わる皆様に多大な影響を及ぼします。自分の欲望は極力控え、その時々の状況で最善の判断ができるように精一杯努めているつもりでも、時に判断を誤り、ご迷惑や不快な思いをさせてしまう事もあるでしょう。(悪かったなあ)と気落ちしている時でも、大人の都合を知ってか知らずか普段と変わらず楽しそうにしている子どもたちに何度も救われました。また、幅広い心の受け皿を持って園に寄り添ってくださっている保護者の皆様には、本当に感謝しています。ありがとうございました。

出会いと別れを繰り返す春。この春は、思いを同じにして一緒に保育をしてきた先生との別れがあります。子鹿幼稚園の2才児保育“バンビルーム”を理想の形に方向づけてくれた「みい先生」お疲れさまです。そして、ありがとうございました。

園長 熊田佳美

 私の保育はこの子鹿幼稚園から始まり、20代の頃、園長先生やいくの先生と保育を共にしてきたというご縁もあって8年前に復職しました。時が経って、我が子を連れた卒園生と嬉しい再会が続いたり、今だからこそ必要とされている2歳児の保育に携わったり、日々の中でたくさんの素敵な体験とたくさんの喜びをいただきました。どうもありがとうございました。
 ニンマリ眺めたり、クスッと笑ってしまったり、子どもを見つめる大人のまなざしがいつも温かでありますように。 どうぞお元気で。 

本田 美穂子

お店やさんごっこから感じる成長

 梅の花が咲き、新芽の息吹を目にする季節になりました。厳しい寒さをあまり感じない冬の時期が終わり、気づけばもう春ですね。先日のお店やさんごっこでは、お客様としての関わりで参観にお越しいただきましてありがとうございました。初めてご覧になられた方、何度か経験のある方、どの保護者の方々にも楽しんでいただいたのではないかと思います。

 どこで覚えたのか、「まぐろが入ったばかりですよ~」なんて言いながら海鮮丼を売っていた年少さんもいたみたいです。制作活動、言語活動、コミュニケーション能力の成長を総合して見ることができるお店やさんごっこは毎年この時期に行っています。「園児たちの育ちのペースや性格の違いに配慮してどの子も活躍の場面があるようにできたら嬉しいね」そんな話をしながらお店やさんごっこを開催しました。普段はおとなしいのに、友だちに負けないように「いらっしゃいませ~!」と大きな声を出している女の子もいて嬉しい気持ちになりました。

 次の日、交代でお店番をしてどの子もお買い物に出かけました。欲しいものに迷ってのんびり買い物を進める年長さんを横目に、開店10分ほどで財布の中身が10円だけのスピーディーな買い物を済ませている年少さんに会いました。どの子も、お財布やお金を持って自分で買い物をするのが本当に楽しい様子でした。年少さんが困らずに楽しんで買い物に出かけられたのは、行く先々で入ったお店の子どもたちの対応に大きな影響があったように思います。HPにもその時の様子を写真で掲載していますが、年長さんの接待の素晴らしい事!!「この白い線の所で待っていてね」と分かりやすい言葉で優しく話しかけて、柔らかい物腰で年少さんの面倒を見ている店員さんはどのお店を覗いても同じだったからです。今年も、人としての成長をしっかりとしている証を見ることができた嬉しい楽しいお店やさんごっこでした。

園長 熊田佳美