人を成長させてくれる達成感

凍えるような寒さの中でも芽を伸ばしているチュウリップや梅の木の蕾を見ると春がすぐそこまで来ていることを感じます。子鹿パーティー劇の発表では、条件付きにもかかわらず参観いただきましてありがとうございました。園児たちの発表はいかがでしたでしょうか。

舞台の発表となると「ストーリー」「台詞」「ダンス」「舞台上での立ち位置」「登場、退場の仕方」など、覚えることがたくさんあります。期間が決まっているにもかかわらず、学級閉鎖や病症で欠席せざるを得ない様態で思うように活動が進まず、完成まで間に合うのか心配もしましたが、そんな心配をよそに子どもたちはお客さんに見せることをずっと楽しみにしていました。また昨年は恥ずかしさから表現しなかった男の子が、一人で台詞を話し、演技をしていた姿を見て、人前が苦手だった子どもが人前で演じることができるようになった変化をとても嬉しく思いました。

時に後退しながらもホップ、テップ、ジャンプ!で大きくなっていく子どもたちの姿に元気をもらった子鹿パーティーでした。残りわずかになってきましたが、卒園、修了の日まで一緒に過ごしてきた友だちや担任の先生と毎日を大切に、思い出を作れますように。

園長 熊田佳美

成長を感じる時期

 昨年は3学期のはじめに大雪警報が出るほど寒かったのですが、今年は 季節外れの暖かい陽気の日もあって、子どもたちが身体を動かしやすそう に園庭で遊んでいました。お正月遊びやボール、縄跳び、固定遊具、砂場、 それぞれに好きな遊びをしている中で「氷おに」や「色おに」を見かけま す。どちらも鬼ごっこがベースの遊びで、捕まったら凍ってその場に止ま る、指定した色をタッチしにいくまでの間に捕まったら鬼を交代するなど、 決まったルールに沿って遊びます。捕まえる方も逃げる方も必死です。途 中で誰かとぶつかりそうになるとひょいと避けて方向を変え、俊敏に走る 様子や、戸外で伸びやかに遊ぶ子どもたちを見て嬉しい気持ちになります。

 この鬼ごっこ一つを取っても、年齢や時期で成長の変化を感じることが あります。例えば、3歳児だと鬼になってみんなが一斉に自分から離れて 逃げてしまうと心細くなって泣いてしまったり、反対にタッチされて捕ま ると泣いてしまったりしてすぐに遊びが中断してしまいますが、年中にな ると頼もしく鬼役が出来るようになります。また年長くらいになると凍っ ている友だちを助けに向かう姿や、どうやったら捕まえられるか待ち伏せ の場所を考えながら追いかける姿など遊び方に工夫が見られるようにな っていきます。
日々、幼稚園活動や遊びを繰り返す中で「知力、体力、精神力」を蓄積し てきた子どもたちが、次は舞台の発表に向けて頑張っています。一人ひと りがどんな表現をみせてくれるのか今から楽しみですね。

月の挨拶(2月)

園長 熊田佳美

ホップ ステップ ジャンプ!の年に

明けましておめでとうございます。
3年近く過ごしたコロナ禍ですが、病症がなんとなく見えてきたことや国内での治療薬の承認が進んだことなど私たちの社会生活が少しずつ緩和されていくのかなと期待をもって新年を迎えました。

 冬休み中は人の流れについてコロナ禍前と比較した報道を多く目にしましたが、まだ3歳から5歳くらいの子どもたちにとってはコロナ禍が人生のスタートなのでコロナ禍前を振り返るということはほとんどなく、今この時から前進あるのみなのかなと思います。また私たち大人にとっては世界規模で起こった感染症の脅威と過ごした日々が「あの時は大変だったね」と昔のこととして語れる未来が一日でも早く訪れてほしいですね。

2学期の終盤は学級閉鎖等でなかなか園全体が揃わない状況が続きました。いつものように門で挨拶をしながら園児を迎えていた際に「あのね、私ね、幼稚園に行きたくて行きたくてたまらない気持ちなの」と声をかけられました。ある先生は面談時に「園児の虐待のニュースを見た我が子が幼稚園はすごく楽しい所なのにこの子たちはかわいそうだね。と娘が言っていました」とお話してくださったと教えてくれました。どちらも年長さんの女の子。国に緊急事態宣言が発令されて6月入園が園生活のスタートになった子どもたちです。幼稚園生活の殆どをコロナ禍で過ごしてきたにもかかわらず、社会生活に欠かせないコミュニケーションの芽を出した園児たちからもらった言葉はいつも以上に重みを感じました。その芽が摘まれることなく膨らんでつぼみとなり花開きますように!

 2023年はうさぎ年。月並みですが、みんなで「ホップ ステップ ジャンプ!」飛躍の年にしましょう。

園長 熊田佳美

異年齢同士のかかわり

 園庭を囲む木々や通用門前に広がるガーデンの森が黄色や赤色に染まり
この時期ならではの景観を楽しませてくれています。
園では園児たちがお店屋さんごっこを展開し、どの子も喜んで参加している様子が見られました。それぞれのクラスで製作した品物は丁寧に出来上がっており、どれも本物さながらに感じられました。開店当日は威勢のよい「いらっしゃいませ~!」のかけ声とともにどの店からも賑やかな声が響き、財布が入った絵本袋を持った子どもたちが口元をほころばせながらテラスを行き来してお目当ての品物をゲットして買い物を楽しんでいました。全店が売り切れて大盛況のおみせやさんごっこになり園児たちも大満足だったようです。次の日、持ち帰った作品をみた保護者の方々が「クオリティーが高くて驚きました」「家でさっそく使って遊んでいます」と門のところで声をかけてくださりました。
 その後、2歳児クラスバンビルームの子どもたちと年長クラスの子どもたちの交流がありました。母子分離の時期が定着しつつあるバンビちゃんたちを幼稚園最年長の園児たちが手を取ってエスコートする様子は見ていてとても微笑ましく、小さい子に優しく関わる体験や年上の子に刺激を受けたり教えてもらいながら遊んだりする体験をお互いに得るひとときになっていました。また年少児が初めて発育測定をしたときも年長児が年少クラスに行って着替えを手伝い応援してくれていたことも思い出され、園庭で学年が混ざって遊んでいる時間にも「泣いている子がいるよ」とか「~が欲しいだって」とか「お友だちの○○ちゃんがいないから探してあげて」など声をかけてくれている姿が浮かびました。おそらくですが、いままで自分自身が年長の子どもに面倒をみてもらった経験が生かされる時がきたのでしょう。
 異年齢の関わりでうまれるお互いの良い習慣が繰り返され、両者がまた一つ成長する機会を見てとても幸せな気持ちになりました。

園長 熊田佳美

壁を乗り越える体験

 いつの間にか朝晩の冷え込みを感じる季節になり、園庭の木々も色づき始 めました。先日、ママと一緒がいいと泣いて登園したAくんと通用門の近く でどんぐり拾いをしました。さっきまで大泣きしていたAくんは、ピタッと 泣くのをやめていつの間にかママの事も忘れてすんなりクラスに入ることができました。園生活にすっかり慣れてきた園児たちは頼もしく見えても、 まだまだ日によって朝が不安定な時があるかと思います。つい昨日まで張り 切って登園していたのに「今日は幼稚園に行きたくない」とぐずられると幼 稚園で何かあったのではないかと心配になることでしょう。成長の過程での 自己主張の現れ、園生活の活動レベルが上がっていくことでの苦手意識、友 だちとの出来事や体験で嫌な思いをしたなど、理由は色々考えられます。
 Aちゃんのように母子分離が一番の原因になっているような場合は、たく さん泣いて気持ちがすっきりしたところで何か違うことに気を引く事で解 決できました。しかし、活動の難しさや苦手意識に直面しているような場合 は、保育の工夫や気持ちの後押し、個別の指導、家庭でのサポートが必要に なり、時にはその子の成長発達そのものを待つことが必要になります。私た ち大人が指導やサポートをする時、苦手な事や嫌いな事を取り除いてあげる ことも改善の一つではありますが、100%子どもの言うことを鵜呑みにす るのではなく、現状を見極めて本当に取り除きやらなくてもいい内容を考え る必要があると思います。
園児たちのようにまだ幼い時に小さな壁一つ一つを乗り越える経験は 「心・技・体」を鍛えてくれる貴重な体験です。やがて大きな壁を目の前に したときに乗り越える力が備わった大人であってほしいためにも、子どもが 壁を乗り越えている時に直面したら、どうしたらその壁を乗り越えられるか を教え、応援する大人でありたいですね。

尊い命

 幼稚園の田んぼでは稲刈りが終わり、一斉にバッタやコオロギが登場して子どもたちの虫探しを盛り上げてくれました。また今年の9月は、シオカラトンボから赤とんぼへと変化しながらたくさんのトンボが園庭に飛んでいました。きっと自然界でヤゴが無事に育ったのでしょう。
夏休み明けには静岡県のこども園で起きたバスの置き去り園児死亡事故という痛ましいニュースがありました。教育現場や保育現場は人が育つ場であると同時に尊い命を毎日お預かりする場でもあります。あんな事故は決してあってはならない事です。それだけに危機管理対策や衛生管理は園生活において何よりも重要なことと捉えていた気持ちが更に引き締められました。子鹿幼稚園における園児の安全な生活は、園の教職員ひとり一人が責任をもって日々仕事に取り組んでいることで成り立っていると言っても過言ではないと自負しております。早朝から出勤し、園舎、園庭の見回りや掃除をし、危ない物が落ちていないか、破損している箇所はないかなど確認をし、雨上がりでアスレチックの丸太が滑りやすくなっているときは乾いてから使用した方が良さそうだと情報共有をしてから保育を始めるなどしています。またバス通園、徒歩通園に関係なく朝の受け入れから帰りの引き渡しまで、園児ひとり一人の所在や健康状況を観察することに従事して何か心配事項などがあると相談の声がかかり、園児の身体の状況を確認しています。
 同時に、子どもたちには命の大切さを教え、自分の命もまわりの命も守るために必要な安全生活や健康習慣を指導しています。園児たちは交通安全教室に続き、避難訓練に参加するなど体験から命の尊さを繰り返し学んでいきます。

園長 熊田佳美

マイナスから気づくメリット

 長い夏休みでしたが皆さんいかがお過ごしでしたか?
猛暑で熱中症警戒アラートが鳴る日が続いたと思えば、局地的な突然の大雨、新型コロナ感染症の感染拡大など、健康を維持しながら過ごす面で気が抜けない毎日だったことと思います。そんな状況であっても、今までの経験から得た対策や予防を講じながら普段はできなかった事や家族で楽しいひとときを過ごす事ができた夏休みになったことでしょう。
心機一転、幼稚園の保育活動も2学期が始まりました。1学期中に慣れて親しみを持ち始めた幼稚園やクラスの環境の中で、新たな活動体験を通してたくさんの事を学び、日々のちょっとしたきっかけで友だちができ、一人ひとりが力をつけて成長していく様子を見るのが今から楽しみです。
昨年の出来事を思い出してみますと、8月中に発令された緊急事態宣言が千葉県は9月30日まで延長となり、毎日午前保育で過ごしていました。
2学期の行事も予定を調整し改め、プレーデー(運動会)は10月の終盤に延期しました。おととしまで10月の初旬に実施していた頃は、まだ残暑が厳しい9月中から演技や競技の練習を始めていましたが、半月以上遅い時期に変更したことで気温が下がり運動しやすい陽気に練習をする事ができるようになったり積み重ねて練習する日数に余裕ができたりしたせいか意欲を持って最後まで活動に取り組んでいるように見えました。また、午前のみの開催にしてからは種目数も厳選したので当日までの集中力が増したように感じています。

 コロナ禍で失ったもの、得たものを天秤にかけながら良い方向を見つけていけたらいいですね。

園長 熊田佳美

力を養い、伸びやかに

梅雨の時期が続く晴れ間をぬって幼稚園ではプール活動の実施時期にな りました。プール遊びを休む園児は、室内に用意された遊びをして過ごしま す。水遊びに必要な身支度の習慣、プールに入る前の準備体操、水に入って いる間の注意点、濡れた体で足元が滑りやすくなっていて転倒に気をつける 必要があること、着替える時にはタオルでしっかりと体を拭き取り水分補給 をするなど、プール活動だけでもたくさんの覚えることが詰まっています。 けれども、まだ自分でできない事や初めてする事もあるので、担任をはじめ 職員が手助けしながら実施します。そして、安全と衛生管理に留意しながら 暑さをしのぎ、気持ちよく楽しく経験できるように有効に活動していきたい と思います。

今年度がスタートしてから園のホームページの活動報告もゆっくりと更 新していますが、皆さんご覧いただけましたでしょうか。最近は保護者参観 の様子を全学年一緒に掲載しました。全学年がクラスで制作活動をしていま したが、それぞれに制作の内容が違いました。参観が終わってから、緊張し てしまっていつものように話ができず、説明を早めすぎてしまったと猛反省 している担任の先生もいましたが、子どもたちはというと普段と変わらない 落ち着きぶりでした。むしろ良い所を見てもらいたい気持ちを感じるくらい 話をよく聞き、いつも以上に速やかな行動をとっていました。

私は、基本何事も張り切ることは大事だと思っているので、普段の姿を知 る者としては嬉しかったですが、先生たちは、いつもこうだと嬉しいだろう なと思ったりもしました(笑)。保護者の皆様にとっても、お子さんがクラ スの中でどんなふうに一斉の活動に参加しているのか目の当たりにして安 心されたことと思います。

園長 熊田佳美

一緒にハッピーバースデー

 昨年と同様に今年も梅雨入りの時期が早まっているような雨の天候が見 られます。その晴れ間をぬって、年長児の田植え、年長・年中の親子遠足が 予定通りに実施できました。ゴールデンウィークを明けてから幼稚園生活の 流れの感覚を身に付けてきた年少さんも親子遠足を後に控えています。健康 に楽しいひと時が過ごせますように。

 今年度から園行事の誕生会を開く際は、全クラス一緒にホールで祝う形を 再開しました。年少児から年長児まで全員でその月の誕生者をお祝いします。 誕生者がステージの上でクラスや名前、何歳になるのかなど発表したり、先 生たちが練習した舞台での催し物を視聴したり、嬉しさや楽しみが詰まった 素敵な会になっています。先日の誕生会は「いっしょにハッピーバースデー」 という演目でした。話の登場人物は、うさぎとりすとぞうと卵。それぞれの 誕生の季節を迎えながら互いに誕生日を祝いますが最後まで残った卵はな かなか割れずにいます。早く会いたい動物たちが抱きしめたり温めたりして 待ち焦がれていると卵が割れてかいじゅうくんの赤ちゃんが生まれました。 赤ちゃんの誕生を喜ぶ動物たちが口々に「会いたかったよ」「生まれてきて くれてありがとう」「これから仲良くしようね」「いつも一緒だよ」と声をか けている言葉を聞いてジーンと胸が熱くなりました。最近、命を失う様々な 出来事で胸を痛めることが多かったせいかもわかりません。

 命の大切さを子どもたちに伝えていく方法は、日頃の色々な場面で機会が ありますが、今回のように誕生の尊さを通じて園児たちが感じてくれたこと は、どの子にも優しく浸透していったであろうと思っています。

園長 熊田佳

友だちづくり

進級、入園から早一週間が経ちました。先日降った雨の湿りで植栽のつつじが咲き始めて園庭に色を添えてくれています。最初は泣いたり走り回ったりそれぞれだった年少児が、みんなと一緒の時間が穏やかに過ごせるようにと先生たちも一生懸命に奮闘中です。
先日、職員室でこんな話を聞きました。年長児のAちゃんは最近妹が生まれた女の子です。Aちゃんは日頃から人懐っこい性格で、実習生が来た時もいち早く甘えてそばに寄っていき、物おじせずに話しかけることができます。さっそく園庭で知り合った年中児のYちゃんと意気投合し、名前を聞いて「可愛い名前だね」と褒めてあげていたそうです。Aちゃんの名前への関心はそこだけで終わらず、担任の先生に「園長先生は何て名前なの?」「伊藤さんは?」と下の名前で呼んでいる先生たちとは違う呼び方をされている職員の事を聞いて、「きりこさんだよ」と教えると「可愛い名前だね」と言ったとのことでした。脇で一緒に聞いていた先生が「妹の名前を聞かれては可愛い名前だねって言われているのかな」と言っていましたが、(なるほどなあ)とうなずける話でした。幼稚園で友だちができ始めるとお互いに名前を呼び合うようになり、話の中で友だちの名前が出てくるようになります。社会性の嬉しい芽生えですね。でも、まだまだ新年度は始まったばかり。なかなか幼稚園の事をしゃべってくれない、お友だちの名前がでてこない、と焦って心配しないで嬉しい時がくるのを待っていてあげてください。
今年は振替休日を利用して長いゴールデンウィークがあります。新しい環境に慣れようとエネルギーを使って心身ともに疲れが見え始める時期と重なります。どうぞご家族でリフレッシュできる良い連休になりますように。

園長 熊田佳美