体験から学ぶこと

 2月28日の全国休校要請発令により幼稚園臨時休園を決定してから3か月が過ぎました。4月から続いていた緊急事態宣言が5月26日に解除され、いよいよ新年度の始まりです。不安や自粛がのしかかる生活が続きましたが、皆で辛抱し協力して大きな第一波を乗り越えられたことをまずは素直に喜びたいと思います。あまりにも休みが長く続いたので、自分のペースで毎日過ごしていた子どもたちが、規律ある集団生活のペースを取り戻していくにはきっと時間が必要なのではないかと考えています。加えて、今回の園活動再開には、引き続き感染防止対策を配慮しながらの生活が必要とされていますので、何事も通常通りではなく、今回の場合はどのようにしたら良いかを常に考えながらの取り組みになっていくであろうとも思っています。

 例えば新しい生活様式を考えた時に、「2メートル間隔のソーシャルディスタンスで遊んでね」とか「大きな声は出さないでね」なんて園児に求めるのは実際に無理だとしても、部屋の換気や通気をよくする工夫や活動のスペースをなるべく広くとる配慮、生活する施設や道具の清掃と消毒などは私たち大人がしてあげられる事ですし、毎朝の検温や体調観察、手洗いうがいの習慣を身に付けてあげることは家庭と幼稚園で協力して教えていける事です。

 子どもたちには自分の命を自分で守る意識や行動を覚えていくように教えるのも教育の一つですが、幼い子どもたちが未熟なところは私たち大人が守ってあげることが必要です。今、まさにその教育の時とも言えます。

 やっと子どもたちの育ちに必要な食事・運動・園(社会)生活体験の3つが揃いました。たくさんの笑顔に会える日々が楽しみです。

園長 熊田佳美

毎日を健康に過ごすために

 4月の臨時休園から早くも1ヶ月が過ぎました。保育室前の植栽には濃いピンク色のつつじが咲き、初夏の訪れを実感します。ガーデンタウンにたくさん植えられた木々の枝から聞こえてくる鳥たちのさえずりだけが響き、静寂した日が今もなお続いています。園児たちがいない幼稚園ほどつまらないものはありません。

 ご家庭では、何らかの形でストレスも発症し始めている頃ではないでしょうか。元気な挨拶や歌で声を出し、先生や友だちとやりたい遊びをして要求を満たし、先生が見せてくれたり教えてくれたりする新しい体験にドキドキワクワクする時間を過ごし、そうやって集団生活の中で健やかに成長していく時間が持てずにいるもどかしい生活には5月いっぱいで見切りをつけたいものです。

 私が幼稚園説明会の際に必ずお話させていただく中で、子どもの健やかな成長を妨げるものの中でもストレスは一番よくないという考えを発言しています。子どもだけに限らず大人も同じですね。現状では特に感じることが多いです。ついついマイナス思考になってしまいがちですが、なるべくプラス思考に切り替えてポジティブ精神で生活しましょう。マイナス思考のAさんとプラス思考のBさんでは、Bさんの方がストレスは少ないそうです。
子どもたちは発散する機会が減ってしまっているので、楽しめそうなものを提供してあげたり家の手伝いで指先や体を動かしたりして脳を刺激する機会をできるだけ作ってみてください。

 嬉しいことや楽しいことの中から今できることを見つけて、健康の維持に気持ちを置きながら再開の時を待ちましょう。

園長 熊田佳美

お子様の進級・ご入園おめでとうございます

 いつものように花々が咲き、いつものように小鳥のさえずりが響く暖かな春を迎えました。その一方で、未だかつてない危機的な状況に世界が陥ってしまっています。なんの罪もない子どもたちが、規制された条件の中で毎日を過ごさなければならない事に胸が痛みます。本来は、進級や入園を喜び合って、新しい出会いに感謝して、互いに親しみの気持ちを蓄積していく新学期。その新学期がいつものように過ごせなくなっている事にも切なさを感じます。憎き敵、時には命まで奪い取ってしまうウイルス感染には、一日も早い終息を祈るばかりです。

 安心して過ごせる平常の生活が戻る そんな嬉しい風の便りが届くまで、一人ひとりが安全な生活を心がけ、健康に十分留意して過ごしていきましょう。

 家庭生活を離れ集団生活の一歩を踏み出す新入園児、担任やクラスメイトが変わる進級児。子ども以上に保護者の皆様の心配や不安の方が大きいかもしれませんが、園ではお子さんが幼稚園の中で居心地の良い場所や好きな遊び、好きなお友だちを見つけられるように努めます。また、担任はもちろんのこと職員全員で協力し合いながら一人ひとりのお子さんに目を配り声をかけてサポートしながら保育いたします。子鹿幼稚園は、先生と子どもと保護者の皆様の距離が近く、気さくにお話ができる所がとても良いと思っています。もしもわからないことや心配なことなどがあった時は、ためらうことなく声に出すようにしてみてください。自分一人のエネルギーだけでは解決できないことも、周りの人がヒントをくれて安心に繋がっていくことでしょう。幼稚園生活の楽しさや充実感を皆が一緒に感じていけますように、どうぞ安心して私たちにお任せください。

園長 熊田佳美

お子さまの卒園・修了おめでとうございます

そよ風が暖かな春の空気を運んでくる季節となりました。その空間の中で元気いっぱい走り回り、声をあげながら遊ぶ子どもたちを眺めることが叶わない3月になってしまいました。このまま卒園・修了の時を迎えます。

今年度は48名の年長児が卒園し、52名の年少児と55名の年中児が修了します。毎日積み重ねてきた園での集団生活の中で、たくさんの経験をして、どの子も大きく成長しました。

園長という立場になると時おり決断が必要になる事があります。その決断は、園児はもちろんのこと、保護者の皆様、先生方、幼稚園に関わる皆様に多大な影響を及ぼします。自分の欲望は極力控え、その時々の状況で最善の判断ができるように精一杯努めているつもりでも、時に判断を誤り、ご迷惑や不快な思いをさせてしまう事もあるでしょう。(悪かったなあ)と気落ちしている時でも、大人の都合を知ってか知らずか普段と変わらず楽しそうにしている子どもたちに何度も救われました。また、幅広い心の受け皿を持って園に寄り添ってくださっている保護者の皆様には、本当に感謝しています。ありがとうございました。

出会いと別れを繰り返す春。この春は、思いを同じにして一緒に保育をしてきた先生との別れがあります。子鹿幼稚園の2才児保育“バンビルーム”を理想の形に方向づけてくれた「みい先生」お疲れさまです。そして、ありがとうございました。

園長 熊田佳美

 私の保育はこの子鹿幼稚園から始まり、20代の頃、園長先生やいくの先生と保育を共にしてきたというご縁もあって8年前に復職しました。時が経って、我が子を連れた卒園生と嬉しい再会が続いたり、今だからこそ必要とされている2歳児の保育に携わったり、日々の中でたくさんの素敵な体験とたくさんの喜びをいただきました。どうもありがとうございました。
 ニンマリ眺めたり、クスッと笑ってしまったり、子どもを見つめる大人のまなざしがいつも温かでありますように。 どうぞお元気で。 

本田 美穂子

お店やさんごっこから感じる成長

 梅の花が咲き、新芽の息吹を目にする季節になりました。厳しい寒さをあまり感じない冬の時期が終わり、気づけばもう春ですね。先日のお店やさんごっこでは、お客様としての関わりで参観にお越しいただきましてありがとうございました。初めてご覧になられた方、何度か経験のある方、どの保護者の方々にも楽しんでいただいたのではないかと思います。

 どこで覚えたのか、「まぐろが入ったばかりですよ~」なんて言いながら海鮮丼を売っていた年少さんもいたみたいです。制作活動、言語活動、コミュニケーション能力の成長を総合して見ることができるお店やさんごっこは毎年この時期に行っています。「園児たちの育ちのペースや性格の違いに配慮してどの子も活躍の場面があるようにできたら嬉しいね」そんな話をしながらお店やさんごっこを開催しました。普段はおとなしいのに、友だちに負けないように「いらっしゃいませ~!」と大きな声を出している女の子もいて嬉しい気持ちになりました。

 次の日、交代でお店番をしてどの子もお買い物に出かけました。欲しいものに迷ってのんびり買い物を進める年長さんを横目に、開店10分ほどで財布の中身が10円だけのスピーディーな買い物を済ませている年少さんに会いました。どの子も、お財布やお金を持って自分で買い物をするのが本当に楽しい様子でした。年少さんが困らずに楽しんで買い物に出かけられたのは、行く先々で入ったお店の子どもたちの対応に大きな影響があったように思います。HPにもその時の様子を写真で掲載していますが、年長さんの接待の素晴らしい事!!「この白い線の所で待っていてね」と分かりやすい言葉で優しく話しかけて、柔らかい物腰で年少さんの面倒を見ている店員さんはどのお店を覗いても同じだったからです。今年も、人としての成長をしっかりとしている証を見ることができた嬉しい楽しいお店やさんごっこでした。

園長 熊田佳美

公平感を育てましょう

 地球温暖化の影響でしょうか。一年の中でも一番寒さが厳しい時期にもかかわらず、暖かいように感じる今日この頃です。凧上げや羽根つきのように天候に左右されるお正月遊びも存分に楽しむことができて良かったです。室内では、かるたやすごろく、トランプなど勝負を決めるカードゲームに関心が高まる時期ですが、いずれも相手があって初めて楽しさが感じられる遊びなので仲間と一緒に夢中になって遊べる良い機会になっているようです。勝負事はゲームの最中や勝負が決まった時に性格(人間性)が現れやすいです(笑)。一緒に遊びながら大人は分かりやすい子どものズルを見極め調整し、負けて悔し泣きする子をなだめ、力をつけている子に対し頑張りを認める言葉をかけるなど、一つの遊びの中ですることが案外たくさんあります。そして、そんなルールのある遊びを毎日繰り返しながら、自分の感情を上手にコントロールできる力がつき、公平さを学んでいる様子をみると子どもたちの成長を日ごとに実感しています。

いよいよ一年間の年度のまとめの時期に入り、子どもたちが話を聞いて理解ができている様子は、とても頼もしいと思います。と同時に、何でも分かっているのだと思うと子どもに対して発する言葉や態度には配慮しなくてはいけないと気が引き締まる思いです。子どもたち一人ひとりの様子が見えるお店やさんごっこを控え、先生たちも子どもたちもアイデアを出しながら準備に取り組んでいきます。保護者の皆様も園児とのやりとりを十分に楽しんでいただき、子どもたちにとって満足感たっぷりのお店やさんごっこになりますように。

園長 熊田佳美

幸せを運ぶねずみ

令和の時代になってから初めてのお正月を迎えました。謹んで新年のお慶びを申し上げます。

昨年末には、お忙しいところ幼稚園運営アンケートにご協力くださりありがとうございました。日々、変化していく時代の流れの中で、より良い方向に幼稚園が発展していくためにするべきことや正すべきことの道しるべになりました。皆様からの貴重なご意見は日々の幼稚園運営や保育活動に良い形で反映できるように努めます。まだまだ至りませんが、これからも保護者の皆様のお力添えをよろしくお願いいたします。

2学期末に行った職員の話し合いでは、クラス運営の状況の共通理解を深め、同時に3学期に向けての課題や目標が掲げられました。進級や就学への繋ぎがしっかりとできる年度末にしていけるよう職員一同頑張ります。私も、一人ひとりの子どもたちの育ちの課題やクラス運営の目標がそれぞれ達成されるように保育運営のサポートに努めていきたいと思っています。

 今年はねずみ年。十二ある干支のスタートです。昔話にはねずみが登場する話がありますが、縁起が良く福を呼ぶ生き物として出てくることが多いです。「したきりすずめ」「おむすびころりん」「ねずみのすもう」など、良い行いをしていると、大変なことや辛いことがあっても最後は「めでたしめでたし」という結末が待っているという教えを伝えてきた日本の文化であるように思います。昔話のようにこの一年が、節々に「めでたしめでたし」となりますように。皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りしています。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

園長 熊田佳美

子ども同士の連帯感の芽

 幼稚園を取り囲む木々の葉が赤や黄色に見事に染まり、落ち葉の絨毯の上を園児たちが通園する季節となりました。見上げると、雲一つないきれいな青空が広がっていて初冬になったことを感じます。これからはインフルエンザや胃腸炎など感染の病気も流行する時期を迎えます。外から帰ったときの手洗いうがいを励行し、栄養を考えた食事や十分な睡眠を心がけて健康に冬を越していけるようにしましょう。万が一、流行りの病気になってしまったら、重症化する前に治療し、感染拡大を最小限にとどめるようにご協力ください。

 絵画展示の絵からもわかるように、年齢や月日を追うごとに子どもたちはそれぞれに幼稚園の中で友だちを見つけ、誰かと一緒が楽しい事を覚えています。共感できる相手がいることに喜びを感じ、同じ行動をすることで安心感を保っているようです。毎年12月に行う子鹿パーティーでは、歌や楽器の演奏、劇やオペレッタの踊りやセリフなどそれぞれの園児が当日までに獲得した力を舞台で伸びやかに発揮できることが一つのねらいではありますが、同じ目標に向かって日々、仲間と力を合わせることも大切にしています。

 友だちへの関心や楽しそうだから自分も同じ事をやってみたいという気持ちは協調性の育ちに不可欠な反面、子ども任せにしたために思いもよらない悪戯や子ども同士のいじめに発展してしまう事があります。特に、大人のいない所や見えない所であればあるほどいたずらな気持ちの一体感を楽しんでしまいがちの幼い子どもたちです。私たち大人は、できる限りその動向を見届けて、善悪の軌道修正をする役目を果たさなければなりません。園庭開放や降園後に近くの公園で子どもたちを遊ばせる時などは保護者の皆さんが頼りです。節度のある気持ちの良い関係が保たれるよう力添えをお願いいたします。

園長 熊田佳美

自然とのかかわり

 台風19号がもたらした豪雨および河川氾濫による災害で、今もなお、避難所生活の方々がおられます。一日でも早い復旧を心よりお祈り申し上げま す。私たちが暮らす日本は、四季があり、その四季折々の自然を満喫できる日常行事を繰り返して生活してきました。ところが、地球温暖化等で体系が崩れてしまい、異常気象のあおりを直接受けるようになってしまいました。 令和最初のプレーデーは、全員出席でスタートしたものの、予想以上に早い 雨の降り始めにより、途中で中止をやむなくいたしました。ご家族の皆様に は、準備、傘をさしての観覧、片づけなど様々な協力をいただきまして本当 にありがとうございました。できることなら最後までご一緒したかったです。 21日には、演技やクラス対抗競技を実施し、園児たちも積み重ねて取り組 んできた力を発揮することができました。努力したこと、達成したこと、不 完全で終わったこと、それぞれが次の成長のステップになることと信じています。

 ふれあい動物園では、ひよこを優しく小さな手で包み込む年少児や子ブタやアヒルに夢中で餌やりをする年中児、ポニーの背中に乗って余裕の笑顔を見せる年長児の姿がありました。天候不安に配慮して特別に連れてきたポー ルパイソン(飼育用の小型ニシキヘビ)を手にするたくましい先生たちには 感心しました。大小関係ない命の尊さ、食べることの命の育み、様々な動物 に必要なかかわり方を学ぶ貴重な時間になったことでしょう。これからは、 サツマイモ掘り、収穫祭など自然を通じての行事が続きます。可愛い子どもたちのために、秋らしい天候が訪れますように。体験で得る「楽しい」気持 ちは、またやってみたいという意欲やもっとやっていたいという集中力につ ながります。また、脳への刺激もたっぷりです。十分に楽しめる行事になるように取り組んでいきたいと思います。

園長 熊田佳美

再生

2学期が始まり、「稲刈り」や「幼稚園説明会」などの予定していた行事 が順調に進んでいた矢先の出来事でした。9月9日未明にかけて、千葉市付 近に上陸、通過した台風15号の爪痕は想像をはるかに超える大きさで、一 週間以上が経った今もなお、県内では復旧に向けての作業や避難生活が続い ている状態です。幼稚園は当日の一日を休園にいたしました。幸いにして、 ライフラインの機能はすべて支障なく、10日からは通常の保育を行うこと ができました。けれども、保護者の皆さま宛に配布した手紙に記載したとお り、園庭の青桐とアキニレの木が根ごと傾いてしまいました。

青桐はラテン語で「ポーロニア」。幼稚園のシンボルです。無傷の青桐は 2 本残りましたが、開園当時から幼稚園の庭で遊び、健やかに育つ子どもた ちを見守ってくれていた大木の倒木には心が痛みました。業者さんに気持ち を伝えたところ、浮き上がった半分の根を再度埋め直し、切り株を残してく れることになりました。「生きていれば、いつかまた新しい芽を出すかもし れないよ」と嬉しい言葉までかけてもらいました。

ただ、大木を支えたアスレチックの一部が破損してしまったため、修繕を しなくてはなりません。たまたま、石山の隣のジャングルジムの建て替えを するつもりで、それを機に、アスレチックと連動した木製ジムにしようと計 画していましたので、修繕や安全点検を兼ねて、アスレチックのリニューア ルをすることにしました。

園児たちが、喜んで伸びやかに遊ぶ姿を思い起こし、好奇心をくすぐる楽 しいアスレチックジムになるよう、再生に力を注ぎたいと思います。

園長 熊田佳美